SOTOREさん02

 

         

『彼方』


ふかふかと気持ち良さそうな春の雲
トマトシチューのような夕焼け
めまいがするような夏の星空

どうして遠くにあるものばかり愛してしまうんだろ

こんなに近くにあなたがいるのに
わたしは彼方ばかり見つめてる

バトミントンに熱中した中学時代
先輩と大恋愛をした高校時代
両親が初めて涙を見せた大学の卒業式

それらが遠くなれば遠くなるほど
甘く切ない思い出になる
たとえ辛く悲しい瞬間がいっぱいあっても
それらもわたしには愛しいもの

こんなに近くにあなたがいるのに
わたしのために優しくしてくれてるのに
色あせた時間に恋焦がれる

あなたがいっそ愛想をつかして
わたしと離れ離れになって
季節をひとりで繰り返せば

あなたを愛せるのだろうか

音楽のように鳴り響く秋の風
ストロベリーアイスのような朝焼け
凍てつくような冬の月光

どうして遠くにあるものばかり愛してしまうんだろ

こんなに近くにあなたがいるのに
こんなにあなたを感じるのに


作:sotore